ナパへいらっしゃる方の多くが、サンフランシスコを拠点にするのかなと思います。もしも日程に余裕があったら、ぜひ訪れていただきたいのがヨセミテ国立公園です!サンフランシスコからもナパからも、ロサンゼルスからもアクセスできます。
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私が初めてヨセミテ国立公園を訪れたのは、アメリカに来てまだ間もない頃でした。あまりのスケールに圧倒されて、日本はなんて小さいのだろう。私はずいぶん小さな世界に暮らしていたのだなと衝撃を受けました。同時に、人間なんてちっぽけだなー。ちっぽけな人間のちっぽけな悩みなんて、何でもないなーと人生観が変わりました。それから何度か訪れましたが、その度に感動があります。写真や映像を見ただけではわからないこの場所を、ぜひ多くのみなさまに体験していただきたいです。
基本情報
ヨセミテ国立公園は、アメリカ合衆国カリフォルニア州中央部シエラネバダ山脈にあります。日本からヨセミテ国立公園へのアクセスは、ロサンゼルスまたはサンフランシスコ国際空港を利用するのが一般的です。そこから車で約4~5時間で到着します。(ナパからも同様です。)
公園の面積は3081平方キロメートル。なんと、東京都の約1.4倍の広さがあります。環境保護の努力により、その9割は手付かずの自然が残されています。標高は600メートルから4,000メートル。ヨセミテ渓谷、巨大セコイア樹林などを含めた非常に多様な景色が広がっています。
1864年に州立公園に指定され、その後1890年に国立公園に指定。1984年には、ユネスコの世界自然遺産に登録されました。ヨセミテ国立公園は、世界中から多くの観光客が訪れる、アメリカでも1、2位を争う人気の自然公園です。
コロナ以降、公園内に入るためには事前予約が必要となりました。予約が埋まってしまうこともありますので、早めの計画をおすすめします。
ヨセミテ国立公園予約ページ
https://www.recreation.gov/timed-entry/10086745
歴史
ヨセミテの歴史は、現在の北アメリカ西部が浅い海の中であった頃の、5億年前まで遡ります。地殻運動と火山活動を繰り返し、およそ1,000万年前、シエラネバダ山脈の隆起が始まりました。西側には緩やかな高原が、東側には急峻な山肌が生まれました。約100万年前には、降り積もった雪と氷が氷河となって高山の草原帯を覆い、谷に沿って流れ下り始めました。氷河期初めには、ヨセミテ渓谷を埋め尽くした氷の厚さは約1,200メートルに達したと考えられています。この氷河の流れに削られたことによって、1,000メートルを超える絶壁のU字型のヨセミテ渓谷が形成されたのです。
ヨセミテの特徴的な景観は、氷河が大地を削って作られた、自然の大きな力によるものだったのです。それが、この場所が世界遺産になった大きな理由ともなっています。
この地域には、白人が入植するはるか昔からネイティブ・アメリカンが暮らしていました。彼らはこの土地を「大きな口」を意味する「アワニー(Ahwahnee)」と呼び、自らをアワニーに住む人々という意味でアワニチと呼んでいました。一方、アワニチと対立していた穏やかなミウォク族からは、恐れを込めて「殺し屋たち」という意味の「Yohhe’meti」と呼ばれていました。
白人としてヨセミテ渓谷を発見したのは、アメリカ陸軍マリポサ歩兵大隊でした。19世紀半ば、ゴールドラッシュによってカリフォルニアに流入する白人数が激増する中、同大隊は約200人のアワニチ族を追ってヨセミテ渓谷まで来ました。この地を「ヨセミテ」と名付けたのは、この部隊に従軍していた医師ラファイエット・バンネルであるとされています。彼はアワニチの人がこの土地を指していた「アワニー」という名前ではなく、アワニチに対するミウォク族からの呼び名である「ヨセミテ(Yo-sem-i-ty)」を採用しました。これは先述した通り「殺し屋たち」という意味のミウォク語から来ていますが、発音が似ているグリズリーベアを表すミウォク語「ihumat.i」と勘違いしてのことでした。
その後1855年頃から、観光で訪れる旅行者が増え始めるとともに観光名所化が進み、乱開発が懸念されました。そのため環境保護を訴えた法案が連邦議会の両院を通過。1864年に当時の大統領エイブラハム・リンカーンがこの法案に署名しました。これは、連邦政府が保護と公共利用のために公園を指定した最初の例であり、後にイエロー・ストーンが最初の国立公園として設立された際の先例となりました。その後、連邦議会は公園面積の約9割を「ヨセミテ自然保護区域」に指定し、今に至っています。
アクセス
サンフランシスコ、ロサンゼルスから車で約4〜5時間。
レンタカーで行けば自由がありますが、慣れない道を長時間運転するのは大変かと思います。
そんな時には、ツアーを利用するのもおすすめです。自由度の高いツアー、ガイド付きのツアーなど、多彩なツアーがあります。
ヨセミテまでの道のりでは、何もなく、ただただ広い野原の中の1本道を走るなど、これぞカリフォルニア!の景色を堪能することができます。
レンタカーを利用する場合、公園内の移動はシャトルバスが運行しており、主要スポットを効率よく回ることができます。混雑時期は駐車場が満車になりやすいので、早めに駐車し、あとはシャトルを利用するのもおすすめです。公園内も想像以上に広いので、スポットからスポットへ車で移動するにもかなりの距離があります。
ベストシーズン
断然春がおすすめです。雪解け水によって水量が最大となり、大迫力の滝を味わうことができます。観光のピークシーズンとしては、春から秋まで。夏にはこれでもかというくらいの嘘のような青空を見ることができ、秋は紅葉の美しい季節です。冬には雪景色を楽しむことができますが、チェーンは必須で、一部エリアがクローズになることもあります。
見どころ
ヨセミテ渓谷
ヨセミテ国立公園の象徴ともいえるヨセミテ渓谷は、公園全体の1%に過ぎませんが、多くの観光客を魅了する場所でもあります。特に有名なエル・キャピタンやハーフドームは、世界中のロッククライマーの憧れの地です。実際に行ってみると、本当にここを人が登るのか???と息を呑むような断崖絶壁です。
ヨセミテ滝
ヨセミテは、狭い地域に多くの滝が集まっていることでも知られています。中でもヨセミテ滝は、北アメリカで最も高い滝の一つです。3段に分かれており、合計739メートルの落差を誇ります。春から初夏にかけて雪解け水で滝が最も勢いよく流れ落ち、その壮大な姿は圧巻です。滝壺の近くまで行くことができますが、水量の多い時にはかなり濡れてしまうことも覚悟してください。夏には、水着持参で川で泳ぐ人たちの姿も多く見かけます。
他にも、トンネル・ビューからも見えるブライダルベール滝も有名です。
マリポサ・グローブ
巨大なセコイアの木々が立ち並ぶマリポサ・グローブは、ヨセミテ国立公園の南端に位置します。このエリアでは、樹齢2,000年以上の木々を見ることができます。初めて行った時には、長い時間を生きてきた木々のエネルギーに包まれて、荘厳ささえ感じました。最近(2024年)行った時には、火事と森林保護の影響で、大分違った雰囲気を感じました。
グレイシャーポイント
標高2,199メートルに位置するグレイシャーポイントは、カリー・ビレッジの直上975メートルの位置にあります。目の前にはハーフドーム、眼下にはヨセミテ滝やヨセミテ・ビレッジに集う人々、歴代大統領や故エリザベス女王ほか多くのVIP御用達の由緒あるホテル「アワニーホテル」などが小さく見えます。まさに息を呑むような絶景です。日没時には、美しい夕焼けが広がり、特にロマンチックなひとときを過ごせます。星空の撮影にも最適だとか。ヨセミテに行ったなら、ぜひ立ち寄っていただきたいスポットです。
アクティビティ
ハイキング
ヨセミテには、初心者から上級者まで楽しめる多様なハイキングコースがあります。ミスト・トレイルやジョン・ミューア・トレイルなどが人気です。難易度も距離もそれぞれに大きく違いますので、挑戦する際には事前に下調べをし、準備を整えることをおすすめします。
ロッククライミング
エル・キャピタンやハーフドームでのロッククライミングは、挑戦的なアクティビティとして知られています。経験豊富なクライマー向けですが、初心者向けのクライミングスクールもあります。
キャンプ
公園内には複数のキャンプ場があり、自然の中での宿泊を楽しむことができます。事前の予約が必要ですので、計画的に準備しましょう。
その他にも、サイクリングやスキー、川遊びなど、様々なアウトドアアクティビティを楽しむことができます。
宿泊施設
公園内には、キャンプ場の他にもロッジやホテルがあります。特に「アワニーホテル」は、歴史的な建造物として知られ、ヨセミテ国立公園内の唯一の高級ホテルです。公園外にも宿泊施設は豊富にあり、予算や好みに応じて選べます。夏季のハイシーズンには半年以上前から予約が埋まってしまうこともありますので、早めに計画しておくと安心です。
公園内での注意事項
野生動物との接し方
ヨセミテ国立公園内には約400種の脊椎動物が生息し、その中には黒クマやマウンテンライオンもいます。クマ対策は徹底されており、公園内のゴミ箱はすべて簡単には開けられない仕組みになっています。訪れる私たちも、野生動物との接し方に注意する必要があります。
食べ物などのゴミは必ず専用の容器に入れ、放置しない。万が一野生動物に接触した場合には、少なくとも25メートル以上の距離を保ち、絶対に食べ物を与えない。大声を出したり、急な動きをしない。ハイキングの際には、ベルなどを鳴らして人の存在を知らせる などの対策をしましょう。
天候と服装
標高が高い場所もあるので、ハイキングなどのアクティビティでは、体が慣れるまで注意が必要です。
また、山岳地帯のため天候の変化が急激です。夏でも朝晩は冷え込むこともありますので、防寒着も忘れないようにしてください。暑い季節には、持ち歩ける水を用意しておくことも重要です。
テクノロジーの利用
公園内では携帯電話の電波が弱い場所が多いです。重要な情報はオフラインでも見られるようにしておくと安心です。GPSアプリを活用すると、ハイキングの際などに便利です。
環境への配慮
ヨセミテ国立公園では、より厳格な自然保護政策が取られています。自然を守るために課せられている注意事項は必ず守りましょう。
また、各エリアでの行動は完全に自己責任になります。天候と自然に注意をし、安全に過ごせるよう無茶をしないようにしましょう。
ヨセミテ国立公園は、その壮大な景観と多様な自然環境で世界中の旅行者を魅了しています。日本では味わえない壮大なスケールの自然を、ぜひ実際に体験してみてください。
Yosemite National Park