禁酒法時代を乗り越えた老舗ワイナリー：ナパバレー　ルイ・M・マルティニ・ワイナリー

セントヘレナに位置するルイ・M・マルティ二は、カリフォルニアワインの発展において重要な役割を果たしてきた老舗ワイナリーです。禁酒法時代でも合法的にワインを製造・販売していた数少ないワイナリーの一つとして知られています。

歴史

1899年、12歳だったルイ・M・マルティニは、イタリアのジェノバから、サンフランシスコに住む父の元へやってきました。父とワインを作り始めたルイは、ワイン造りを学ぶため一旦イタリアへ戻った後、再びアメリカに渡りました。
その後、禁酒法時代がやってきてカリフォルニアのワイン業界は大きなダメージを受けます。しかしルイ・M・マルティニ・グレープ・プロダクツ・カンパニーは、聖餐用ワインと、家庭用として抜け道となった濃縮液の生産に取り組むことで生き延びました。1933年には、まだ禁酒法時代の最中であったにも関わらず、ルイ・M・マルティニは、禁酒法廃止を見越してセントヘレナに新しいワイナリーを建設しました。そうして、禁酒法廃止後にナパバレーに最初にオープンしたワイナリーの一つとなったのです。

ルイ・M・マルティニ・ワイナリーは、当時はあまり行われていなかった低温発酵を最初に採用したワイナリーの一つとなり、ぶどうの霜を防ぐために風力機械を使用した最初のワイン生産者の一つとなりました。1943年には、ナパバレーのワインの品質を発展させ、世界に広めることを目的としたナパバレー・ヴィントナーズ・アソシエーションの設立に貢献するなど、ナパバレーのワイン産業の発展に重要な役割を果たしてきました。

親子3代に渡って家族経営を続けてきたルイ・M・マルティニ・ワイナリーですが、2002年、マルティニ家の3代にわたる親友であるガロ・ワインメーカー一家に、ワイナリーとぶどう畑を売却しました。
2019年にはオリジナルワイナリーの大幅な修復が完了し、世界クラスのテイスティングと料理体験の数々が導入され、現在に至ります。

畑

マルティニ家は、1938年、マヤカマス山脈のソノマ側にあるゴールドスタイン牧場を購入しました。赤い火山性土壌であることから、後にモンテ・ロッソ・ヴィンヤードと改名。それ以来、先進的なぶどう栽培とぶどう畑主導のワイン造りに取り組んでいます。今も、ナパバレーとそれ以外の地域から、可能な限り最高のぶどうを調達し続けています。

さらに、環境に配慮したワイン造りにも力を入れています。ソーラーエネルギーの活用や、持続可能な農法の導入により、地球環境に優しいワイナリーを目指しています。

ワイン

ルイ・M・マルティニ・ワイナリーは、カベルネ・ソーヴィニヨンの名門として知られています。特に評価の高いワインには、Monte Rosso Cabernet Sauvignonや、限定リリースのLot 1などがあります。どちらも濃縮されたフレーバーと滑らかなタンニンが特徴です。

2002年にカリフォルニア最大手ワイナリーのガロに売却されてからは、小区画、小ロットのプレミアムワイン造りへシフト。2003年には、少量生産に特化した職人ワイナリー、セラーNo.254が完成しました。その成果は早速現れ、2013年のロットNo.1カベルネ・ソーヴィニヨンは、ロバート・パーカーから100点満点を獲得。さらに、ワインスペクテイターの行った70年垂直テイスティングでも高得点を獲得し、長期熟成に耐えうるワインであることも証明されました。

テイスティング体験

ルイ・M・マルティニ・ワイナリーのテイスティングルームは、現代的なデザインと歴史的な魅力を兼ね備えた空間になっています。訪問者は、ガイド付きのテイスティングツアーで、ぶどう畑の背景やワインの製造プロセスについて詳しく知ることができます。

マルティニで最も人気のある限定少量生産のワインが味わえるテイスティングでは、エグゼクティブシェフ、アーロン・メネゲリが用意するアーティザン・チーズボードもオプションでつけられます。また、クラウン・コレクションからの選りすぐりカベルネ・ソーヴィニヨンのテイスティングでは、アーロン・メネゲリ監修の料理とのペアリングも楽しめます。
屋外のプライベート・カバナも人気で、ゆったりとした雰囲気の中でリラックスした時間を過ごすことができます。

テイスティングは予約が推奨されていますが、当日の空き状況によっては、予約なしでも訪問できます。

可能な限り最高のカベルネ・ソーヴィニヨンを造ることを目指してきたルイ・M・マルティニ・ワイナリーは、歴史と革新の融合した訪れる価値のあるワイナリーです。ぜひ一度訪ねてみてください。